石炭液化成水の特性とその処理

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石崎紘三/ 松山英俊/ 吉田忠/ 前田涌典
1990年3月 北海道工業開発試験所報告 50,51-60

 石炭液化およびガス化プロセスからは多量の排水や排ガスが生ずるため,将来の大規模プラントの建設に備えてそれらの量や性状を予測するとともに充分な処理対策を講じておく必要がある。 液化プロセスからの排水についてみると,排水総量は原料炭1t当り0.5〜1m3と見積られており,その中にはフェノール,アンモニアをはじめとする各種の水質汚濁物質が多量に含まれている。 そのため石炭処理量2〜3万t/dと予想される実用プラントからの排水の量および汚濁負荷量は膨大なものになる。 またプロセスが複雑であるため排水源も多岐にわたっている。 ある調査では典型的な液化プロセスには70余の排水源があると報告している。
 各種の排水のなかで最も高濃度の排水とみなされるのは生成水である。 生成水は水素添加反応によって石炭構造中の酸素から生ずる水と,原料炭に含有されていて反応系に取り込まれた水から成っており,液化油からは蒸留などによって分離される。 生成水の量は原料炭の種類や反応条件によって大幅に異なり,高石炭化度炭では原料炭乾燥重量の数%であるが,褐炭では20%近くにもなる。 生成水は液化プロセスから必然的に生じてくる排水であり,その量も多く,また多種類の化合物が高濃度で含まれている。 そのため他の排水とは別途に処理したり,あるいはそこからフェノールなどの有用成分の回収を図った方が有利な場合が多いと考えられる。
 これまで液化プロセスからの排水の分析や処理に関するいくつかの報告があるが,対象としている排水が各種排水の混合水であったり,その起源や原料炭の種類が明確でないことが多い。 また,生成水を単独に扱った研究はない。 本研究では直接液化法によって得られた炭種や反応条件などの異なる多数の生成水の含有成分の分析を行い,その特性を把握するとともに炭種と含有有機成分組成との間にある程度の相関性があることを明らかにした。 また生成水の微生物処理試験を行い基礎的な知見を得た。