流動層型バイオリアクタの基礎研究
池田光二
1989年9月 北海道通産情報 44(9),44-46
酵素,微生物など生体触媒を用いた工業的バイオリアクタは,化学反応装置や微生物培養装置を模して開発されてきました。
現在では充填層型が主に利用されています。
この型式のバイオリアクタは,酵素や微生物を含んだ担体粒子を充填し,固定されていますが,反応装置の単位容積あたりに触媒粒子が多く充填でき,ピストンフローに近い流れが得られるため,反応効率は良くなっています。
しかし反面,反応に伴い熱が発生したり,pHが変化する場合には反応条件の制御が難しくなります。
そして多くの微生物反応のように反応過程で酸素を要求したり炭酸ガスを発生したりする場合には酸素の供給や炭酸ガスの排出について考えねばなりません。
また,充填層内の圧力損失がかなり大きくなり,充填した粒子が圧縮変形した場合には,圧力損失がさらに大きくなり偏流が生じるなどの問題があります。
このような充填層型の問題点を解決するために,酵素や微生物を含んだ粒子を浮遊流動させる三相流動層型のバイオリアクタに関心が寄せられています。