水とアルコールの膜による分離

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大越純雄
1989年7月 北海道通産情報 44(7),56-58

 水とアルコールのわずかな性質の違いを利用して分離する膜としては,アルコールを透さず水だけを選択的に透過させる膜と,アルコールのみを透過させる膜が考えられます。 アルコールの利用を考える場合は,後者の膜(アルコールを透過する膜)が都合がよいので,当所の研究も,アルコールには濡れるが,水を弾く性質をもつテフロンを材料に,多数の細孔を持つ膜を作成して,アルコールを分離する研究を行いました。 しかし,この膜は細孔の大きさや膜の厚みを変えても,極く短時間の間はアルコールのみ通過させましたが,すぐ水も共に通過するようになり,分離は成功しませんでした。
 そこで,水を吸って膨潤するが,アルコールは吸わない性質の物質で作った膜を用いる方向に研究を切換えました。 アルコールを吸って膨潤し,水を吸わない材料による膜を用いて,アルコールのみを取り出す方が都合が良い訳ですが,このような性質の物質は,わずかしかないため,前者を採用することにしました。