2-(5-ブロモ-2-ピリジルアゾ)-5-(N-プロピル-N-スルフォプロピルアミノ)-フェノール錯体とEDTAとの配位子置換反応の速度差を利用するカドミウム(II)の定量
中川孝一/ 緒方敏夫/ 原口謙策
1989年1月 北海道工業開発試験所報告 47,21-25
水溶性高感度発色試薬,2-(5-ブロモ-2-ピリジルアゾ)-5-(N-プロピル-N-スルフォプロピルアミノ)フェノール(5-BrPAPS)の錯体とEDTAとの配位子置換反応における吸光度の時間変化からカドミウムを定量する方法を検討した。
鉛(II)およびマンガン(II)錯体の反応速度はカドミウム(II)の速度と近く,マスクする必要がある。
また,高濃度の鉄(II),銅(II),亜鉛(II),ニッケル(II)およびコバルト(II)が共存すると反応系の全吸光度が大きくなり,測定精度を低下させる。
本報ではタイロンおよびジメチルグリオキシムをマスキング剤としてこれら金属イオンの影響を除いた。
酢酸イオン,硝酸イオン,炭酸イオン,ハロゲン化物イオンなどの陰イオンは影響を与えない。
本法により30μg/50cm3程度の鉛(II),マンガン(II),鉄(II),銅(II),亜鉛(II),ニッケル(II),コバルト(II)と共存する1μg/50cm3程度の微量カドミウム(II)を簡単,迅速に定量できる。