木酢液の改質との利用の基礎的検討
池田光二/ 横田祐司/ 三浦正勝/ 田中重信
1989年1月 北海道工業開発試験所報告 47,12-20
木質系バイオマスを有効利用するために,北海道内ではカラマツ材を使った木炭製造が行われている。
その炭化工程から副生する木酢液については,従来その性状に関する研究や殺菌効果,肥料効果,除草効果,有害線虫忌避効果,消臭効果などに注目した研究結果および特許が報告されている。
木酢液にはこれらの効果をもたらすいわば生物の成長を阻害ないしは抑制する物質とともに微生物類の栄養源となる有機酸類が主成分として含まれている。
したがって,抑制物質の抑制限界濃度を調べることにより微生物を用いてこれら栄養源をより付加価値の高い物質へ変換する方法についての知見がえられる。
また,ホルムアルデヒドやメタノールなど低沸点成分の効率的な除去法を見出すことができれば木酢液の改質による利用範囲の拡大が考えられる。
本研究では,木酢液を微生物により改質あるいは物質変換することによって高度利用するための知見を得る目的で1)木酢液に作用する微生物菌株の検討,2)木酢液による微生物の増殖の確認,3)木酢液中の成分の濃度変化の測定を行なった。