木酢液の精製方法と装置

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,188-189

 木酢液は木質原料の炭化の際に副産物として得られ、暗褐色の溶解タールや沈降タールを含んだ有機物水溶液であり、その組成は原料木材、炭化条件、回収方法によって大きく異なる。 木酢液は一般的に比重が1.01〜1.08、PH2〜3.5で水以外の三成分は有機酸であり、酢酸として3-8%、その他アルコール、石炭酸、クレゾール、グアヤニール、アルデヒド、ケトン、テルペン類などの各種の有用な有機成分を含み、医薬、食品加工、消臭、土壌改良など化学原料として利用できることが判り、再び注目されている。
 従来、これらの成分の分離法としては、精留や単蒸留によって特定溜分を分溜する方法がある。 しかし、多成分系有機物溶液や木酢液などは熱に不安定であり、木酢液を蒸留する場合、溶解タールや沈降タールなどの高沸点物質とフェノールやアルデヒドなどとが重縮合や分解を起して生成する樹脂用物質およびピッチなどが蒸留釜内の壁に付着固化し、この固化物の抜き出しが非常に困難である。 このため対応できるものは減圧蒸留装置か、原因物質を事前に除いて行う方法など考えられるが、常圧で木酢原液をそのまま連続蒸留することは困難であった。
 これらの難点を解決するため、当所において既に開発していた次のような方法を試みた。 即ち、木酢液を加熱して、その留出経路に加熱ヒーター、保温材、冷却器を取つけ、これにより加熱装置側の温度が高くなるよう温度勾配をつけ、この温度勾配のある部分に凝縮液の取り出し口を数ケ所設置すると共に、少なくとも最初の凝縮液取出し口の温度を水沸点以上の温度に維持して、凝縮温度別のタール、油、水などを取り出すようにした。 このようにして木酢液の各留分を分離する。