北開試式熱天秤(TG-CSC)による高分子材料の熱測定

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,176-177

 この熱量天秤は、当所と真空理工(株)とで共同開発したもので、伝導型熱量計と熱重量測定計を組み合わせ、試料を外部から赤外線加熱炉を用いて加熱し、比熱、潜熱及び熱重量変化を同時に測定できる熱分析装置である。
 すでに、本装置を用いて常温から860℃までのシリカ(SiO2)、アルミナ(α-Al2O3)の比熱や硝酸カリウム(KNO3)、亜鉛(Zn)などの転移、融解熱量を測定した。
 また脱水反応によって重量変化が伴う硫酸マグネシウム・7水塩(MgSO4・7H2O)の熱測定では、脱水の各段階が明確に分離され、それぞれの脱水熱量と熱重量変化が測定できることを確認した。
 本報告では、熱可塑性高分子の中から用途が広く、使用量も多い高密度ポリエチレン(HDPE)、高圧法ポリエチレン(LDPE)及びポリプロピレン(PP)について測定した結果について述べる。
 本装置で高分子材料の熱測定を行うために、前処理、操作法の検討と、試料量、昇温速度、雰囲気ガス量などの物理的な影響の検討及び融解温度、分解・気化温度の再現性を検討した。 その結果、最適な条件において40℃から分解・気化温度までの比熱、エンタルピーの測定を行うことができた。 また、本装置による熱測定結果の精度を確認するために、断熱型比熱測定装置(ASC.真空理工(株)製SH-2000M8型)の測定結果と比較したので、その概要を報告する。