含油スラッジの無公害燃焼技術

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,168-171

 本研究は、タンク底やタンカーの含油スラッジの含油率が低い劣質なスラッジを無公害燃焼して熱エネルギーを回収する。 この回収熱を熱分解用あるいは備蓄基地用等の熱源として利用する。 このような、熱分解・油分回収プロセスと無公害燃焼・熱回収プロセスを組み合わせた総合的な含油スラッジ処理システムを確立することが目標である。
 昭和58年度に設計制作した50kg/hの流動燃焼方式によるパイロットプラントを使って、劣質な含油スラッジ試料(3000〜3500Kcal/kg)の安定燃焼法及び燃焼特性について検討するとともに、排ガス中の有害物質対策等を行った。
 一連の実験の結果を総括すると
(1) パイプスリット型空気分散器の採用によって鉄錆片や小石のような夾雑物の層内蓄積による流動停止もなく、安定な燃焼状態を持続できた。
(2) 本試料は層内燃焼率が低いので、単段燃焼方式の場合には層温度が700℃程度までしか上がらなかった。 そこで、二次空気を層上面に吹きつける2段燃焼方式を採用し、(一次空気量/全空気量)を約0.6に設定した結果、800℃までの昇温が可能になった。
(3) 含油スラッジ廃棄物の燃焼に伴い発生するSO2とHClの石灰石による炉内同時吸収実験を行い次のような結果が得られた。
 1) Ca/(S+Cl)の供給モル比が3、残余酸素濃度が5%のとき、脱硫率と脱塩化水素率はそれぞれ約80%、60%になり、排ガス無害化にとって有効であることがわかった。
 2) 排ガス中の残余酸素濃度およびフリーボード温度が高くなるとHCl除去率の低下が認められた。
 3) NOx発生量は流動化粒子として硅砂を使った場合とほとんど等しく100ppm程度であった。