含油スラッジ廃棄物の資源化技術

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,164-167

 備蓄タンクの開放点検時にタンク底から、大量の鉄錆や砂泥を含んだワックス状のスラッジ、すなわち含油スラッジが多量に排出される。
 本研究は、このようなタンク底やタンカーの含油スラッジのうち高品位のものについて、有用成分を回収するプロセス・システムを開発することを目的としている。
 そこでベンチスケール実験の結果などに基づいて設計・制作したパイロット規模の流動層型熱分解油分回収装置を使用して油分回収実験を行い、スケールアップ効果、熱分解温度および流動化粒子の違いなどが油分回収率と回収油の性状におよぼす影響について検討した。 その結果、次のことがわかった。
(1) 500〜600℃の温度範囲で装置の運転制御は容易であり、安定した状態で油分を回収することができた。 ベンチスケールでの結果との比較から、処置量は装置断面積に比例した。
(2) 熱分解温度が高くなると、油分回収率は低下するが回収した油分の比重と粘度は小さくなる傾向が認められた。
(3) 回収した油分は硫黄分が低減されており燃料油として利用できる。
(4) 流動化粒子に天然ゼオライトまたは石灰石を使用した場合には、回収油は軽質化される傾向が認められたが、ガスへの転換率が高まり油分回収率は低くなった。
(5) 断熱状態下の本実験結果から、500〜600℃の温度範囲での熱分解に必要な熱量を算出し、320〜450kcal/kg.sludgeの値を得た。
(6) 熱分解排ガスに炭化水素や有害ガスを含むので排出残渣とともに無公害処理する必要がある。