高周波プラズマ分析装置を用いる石炭灰の迅速分析
中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,154-155
石炭灰の研究を円滑に進捗させるためには、最も基本となるデータである化学組成を与える石炭灰ならびに改質した石炭灰の迅速な化学分析法の確立を要する。
本研究においては高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置を用いる主成分と微量成分の多成分同時迅速分析法の確立をはかった。
石炭灰のような珪酸塩化化合物は従来の化学分析法で分析を行う場台、主成分のみを対象としても時間と熟練を要し、各種石炭灰及び処理を加えた石炭灰の化学組成を迅速に知ることは難しい。
そこで、分析濃度範囲が広くかつ多成分の同時定量が可能な高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(以下ICPと略記)を用いる石炭灰系珪酸塩化合物の迅速分析法を確立させることを目的に以下の研究を行った。
ICP分析法が広い濃度範囲の分析が可能なことを利用し、石炭灰ならびに処理を加えた石炭灰(ガラス、肥料を含む)の多元素迅速分析法を確立した。
本分析法は試料の前処理に約3時間、ICPによる分析時間は一試料4分間で17元素(さらに増加させることが可能)の同時定量が可能な、極めて優れた分析法である。
第一主成分であるシリカについてはICP分析法に他元素に比して偏差が若干大きく±2%程度であり、精密分析法としては検討問題があると思われるが、本研究の様に石炭灰ないし類似物質の迅速分析法としては全く問題がなく総体的に見ると、むしろ極めて優れた分析法と思われる。