鉄鉱石の高圧流動還元

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,146-147

 粉鉄鉱石を還元する方法の一つとして高圧流動層による方法が検討されかなりの知見が得られているが、粉鉄鉱石の高圧下の流動層の物理特性も含めて、基礎的検討が不十分である。 まずこれの実操業化のためには還元速度におよぼす圧力効果とガス利用率との関係を明らかにする必要がある。 たとえば、高圧流動層による還元実験として、これまで10kg/cm2以上の高圧水素による結果は極めて少い。
 本報告では内径60mmの回分式高圧流動還元実験装置により、温度700〜900℃、圧力5〜36kg/cm2の範囲で鉄鉱石粒子のH2還元実験を行い、総括還元速度におよぼす圧力と流速の影響について検討した。 さらに還元反応過程のガス分析をすることにより流動層における粉鉄鉱石の反応特性について検討した。 その結果、これらの還元挙動を一次反応として解析できることが認められた。 即ち、高圧還元操業に必要な水素圧力、ガス供給量ならびに試料量による還元速度への影響が確認され、一次式による解析が実用的に有効であることを確認した。 以下まとめると次のとおりである。
(1) 粉鉄鉱石を高圧流動層で還元する場合、水素の空塔速度を一定にして水素圧力を上昇させると、反応効率がほぼ一定のまま還元速度は増すので高圧操業が有利と言える。
(2) 粉鉄鉱石の還元速度に及ぼす水素圧力の影響は、水素流量を一定にした場合はわずかであるが、これに比べて水素圧力を一定にした場合、水素流量の影響が顕著にあらわれる。
(3) 流動層における多孔質な粉鉄鉱石の還元反応は、均一反応であり、段階的に進行することが、ガスクロ分析による測定で明らかになった。