木材熱分解と生成液中の糖の検討
中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,140-141
この研究は、廃木材などの有効利用、あるいは木材の炭化工業における生成液の利用の一方法として、木材の熱分解の生成液中の糖について検討した。
その実験結果を列記すれば下記の如くである。
(1) 木材は、低流速の空気を流動化ガスとした流動層において容易に分解され、原料木材の含有水分によっても異なるが30%程度の収率で熱分解液を得ることができる。
(2) 熱分解液が最大収量を示す温度は、マツ材で約450℃であり、供給原料100gに対して約35mlの熱分解液を得ることができた。
450℃以上の高温では液収率が下り、ガス化率が高くなる。
(3) 熱分解液の密度、粘度は熱分解温度が約450℃で極大値を示し、pH値は3.0で高温ほど酸性が強くなる傾向を示した。
(4) 生成液の分析から、多数の有機成分の存在が認められ、糖、薄層クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィーの分析結果から、糖類の存在を確認した。
その一つが糖の無水物のレボグルコサンである。
その濃度は約2%であり、流動層における分解温度が高いほど増加する傾向を示した。