含油スラッジなどの処理方法

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,136-137

 この研究は、処理困難な液体と固体の中間体、すなわち、固体を含むメディア状の石炭液化残渣またはスラッジなどを多孔質粒子に付着させ、この付着粒子を流動炉を用いてガス化及び燃焼、乾留などをする方法を開発したものである。
 石炭液化残渣は粒度が100メッシュ以下の石炭に赤泥触媒、硫黄助触媒、媒体油として脱晶アントラセン油を用いて100〜300kg/cm2の圧力下で450℃近傍の温度で液化したものを遠心分離機にかけて得られる固体を含むグリス状の残渣物である。
 また、含油スラッジはタンカー底や原油備蓄タンク底等から近年大量に排出される固いグリス状のもので、性状は可燃分40〜90wt%、水分10〜30wt%、残留分10〜50wt%、発熱量3,000〜11,000Kcal/kgである。 又、この含油スラッジの残留分の主成分はFe2O3とSiO2である。
 本研究の主眼となる点は、固体を含むグリス状の石炭液化残渣又は含油スラッジに、石炭ガス化から得られた石炭灰粒子、石炭乾留粒子等多孔質粒子をまぶして混合することによって、これら残渣物が多孔質粒子に容易に付着し、さらさらとした粒子性状になることに着目して、この付着粒子をスクリューフィーダーで流動炉へ供給し熱処理することにある。 従って、これを直接流動炉に供給する方法に比べれば、
(1) さらさらとした粒子性状になるために、供給ホッパー内で棚つり現象を起こすことが無く取り扱いが非常に容易である。
(2) 供給された粒子は、流動層内で良好に流動化するので、吹抜け等による爆発は無く、酸素によるガス化処理でも全く安全に運転が出来る。
(3) 流動性を有する粒子性状のために流動層下部から供給出来るので、層上部での局部燃焼が起こることもなく炉内の温度分布を一様に維持することが出来、装置のスケールアップを図ることが可能である。
 粒子状となっているため篩を通して、含油スラッジに含まれている石や鉄片をあらかじめ取り除くことが出来、スクリューフィーダー等供給機を破損する危険性が無い。
等の特徴を有する。
 次に残渣物と多孔質粒子の混合比については重量比で石炭液化残渣又は含油スラッジの3に対して石炭灰等多孔質粒子が1の範囲まで混合可能であるが、混合のしやすさ及び粒子の取り扱い上から1:1が適当である。