石炭ガス化炉におけるタール防止技術

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,130-131

 石炭のガス化プロセスにおいては、生成ガス中のタールによるトラブルの発生を防止することが必要である。 気流層や溶融層のガス化炉は1300℃以上の高温で操作されるためタールの発生はないと考えてよいが、ガス化後の灰分をドライな状態で取り出す流動層方式のガス化炉は、通常1000℃以下で運転されるためタールの発生が避けられない。 流動層ガス化炉における発生タールの分解は流動層の濃厚相で進み、気泡相と濃厚相のガス混合を促進することがタールの低減に効果的であること、タールの低減には気相接触分解法が有効であることなどが報告されている。 しかし、タールの発生量および分子量分布とガス化の操作条件との関係についての研究はほとんどない。
 そこで、本研究においては連続式の流動層ガス化炉を用いて主に空気、水蒸気で太平洋炭をガス化し、発生するタール量、分子量分布と石炭供給量、ガス化温度、フリーボード部のガス滞留時間等の操作条件との関係を求めた。 その結果、流動層部分、フリーボード部分とも温度が高いほど発生タールの低減化、低分子比が進むことがわかった。 また、その効果は流動層部の方が顕著であることが明らかとなった。 この違いは流動層内の粒子の接触効果と考えられる。 さらに、本実験では実プロセスにおいて配管やバルブへの付着が問題となる比較的分子量の大きいタール成分に限定したため、トルエンより蒸留温度の高い成分を測定した。
 以上の実験結果は、大型プラントの改造及び実験条件の決定に有効な知見を与えることができた。