石炭液化水溶性生成物のスチームガスクロによる分析

問合わせ ひとつ戻る DB入口へ トップページへ PDF(イメージ)を見る

中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,118-119

 ガスクロマトグラフィーは高感度、高分解能な化学分析法の一つとして今やどの研究室においても見うけられる程普及している。 その反面問題点も多々あり、高沸点、高極性試料あるいは多量に水を含む試料に対しては分析の迅速性に欠け、カラムの劣化を引きおこす等試料の種類及び形態に対する制限がある。 しかし、最近高沸点、高極性物質をも迅速に分析でき、かつ水溶液状の試料においてもカラムの劣化がない水蒸気をキャリアガスとする新しいガスクロマトグラフィーが開発された。
 本報告では、このスチームクロマトグラフィーの原理、特徴および高極性試料に対する基礎試験結果について述べ、さらに石炭液化装置の廃水中、また、液化油中のフェノール類に対して適用した例について報告する。
 本法は歴史も浅く、今後、専用の分離カラムの開発、吸着剤表面での水分子および試料分子の挙動の解明等改良の必要な部分がある。 しかし、本法の特長である、クリーンな分析法であること、水溶液でも前処理の必要の少ないこと、適用範囲も広く特に高沸点、高極性物質に有効であるところから、新しい石炭化学の分野等での利用が期待できる。