各種材料からの高級活性炭の製造法とその応用

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,86-99

 一般に活性炭は木質系、ヤシ殻および石炭など各種の有機物原料を炭化および賦活することによって製造される。 炭化は、一般的に原料中の炭素、水素、酸素を不活性ガス雰囲気中で400〜700℃で加熱し、揮発分の一部分を除去(通常は残留揮発分を20〜35%)したのち、賦活に適した炭化物を調製する工程である。 賦活は、炭化工程で生成した、炭化物を600〜1000℃の高温で水蒸気、炭酸ガス、空気を用い反応させ炭化物中の揮発成分あるいは、炭素原子をガス化し、主に10〜100Åの微細孔構造を発達させ内部表面積を1000m2/g以上にまでにする工程を云う。 この工程によって吸着性能の優れた活性炭を得ることができる。 活性炭の内部表面積、細孔分布、各種の吸着性能は、原料の種類によって大きく異なるだけてはなく設定した炭化温度での保持時間などいわゆる熱履歴条件や昇温速度、各賦活温度での賦活時間、賦活ガス濃度等によって大きく異なる。 またこのような実験を行うためには、均一の温度帯で反応が進行できる装置も重要である。 更に、活性炭として第10改正日本薬局法(日局10)に示されている薬用炭の性能などの特性は内部表面積、細孔分布、メチレンブルー吸着量、ヨウ素吸着量などに依存するので各種原料について同一装置による製造条件と、これらの特性を研究することは工業的にも極めて有用なことである。
 また、高級活性炭としての薬用炭の日局10に示す基準は従来の工業用活性炭と比較し極めて厳密であり、上に述べた吸着性能と各種の特性のみの関連だけでは基準を充分に満足させることが出来ない、この中で一番重要な間題点は薬用炭中の強熱残分が4%以下の基準であり、従っていかに吸着性が優れても基準を充足しない。
 また、現在、国内の活性炭業界は深刻な原料不足になっている。 このような点も勘案してこの研究では、未利用の原料を選択し、原料逮択の幅の拡大も考慮した。