低Nox石炭流動燃焼装置

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,84-85

 新しい石炭利用技術の中で、現在、実用化段階に入りつつあるのが、流動層燃焼法である。 当所では、この低NOx化燃焼を目指して、新しい構想による2段流動層燃焼装置の開発とその装置特性に関する研究を行ってきた。 一般的な流動層燃焼装置は単段流動層方式であるのに対して、本方式は流動層の2段重ね方式をとっている。 石炭を下段流動層に供給し、一次空気により燃焼する。 粗粒の燃焼灰は下段流動層から直接排出する。 未燃ガスおよび微粉の未燃炭は上段流動層に入り、二次空気によって燃焼する。 上段流動層の流動化粒子に石灰石などの脱硫剤を使用することによって、この部分で脱硫をも行う。
 このような2段流動層燃焼法は、従来の単段燃焼法と比較して主に次のような特長がある。
(1) 燃焼用空気の分割供給(2段燃焼)によってNOx生成量が低下する。
(2) 上段流動層内で微粉炭と未燃ガスを再燃焼させるので燃焼効率が向上し、COの生成量が低下する。
(3) 脱硫剤を上段流動層に供給して使用するので、燃焼灰と分離され、廃脱硫剤の再成や灰の処埋・利用がしやすくなる。
 最近、単段流動層による2段燃焼法(二次空気を流動層のフリーボード部に吹き込む方式)が、低NOx化に対して有効であることがわかって来ているが、2段流動層燃焼法では、低NOx化に加えて(2)と(3)の特長を合わせ持つことが期待できる。
 これまでの研究から、廃脱硫剤と燃焼灰の分離に関しては特に支障なく行える見通しを得ている。 NOx発生量と燃焼効果に関して比較すると2段流動層燃焼法は、現在発電用に使用されている微粉炭ボイラーの性能を十分に上回るものであり、これまでに発表されている加圧型流動層燃焼法とほぼ同等である。