もみがらの流動燃焼による熱利用と灰の有効利用
中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,82-83
もみがらは1Kg当り3,300Kcalの発熱量を有するので、エネルギーとして有効に利用すべきである。
また、もえ殻は燃焼条件にもよるが、15〜20%の灰が得られるので、その有効利用も検討すべきであろう。
しかしながら、燃料として、あるいは工業原料としても「量」の確保が問題になってくる。
もみがら産出量の季節的変動は大きく、しかも、もみがら、もみがら灰ともにかさ張るので運搬コストは高くつく。
結果的に特定の地域で経済的に利用できる量は自ら限定されるようである。
現状ではローカル資源及びローカルエネルギーとして小・中規模工業用原料に用途を設定するのが無難であろう。
ここでは、まず流動燃焼による熱利用の例と、ついで、九工試と共同で行われた、もみがら灰を原料とする「水硬性セメント」について紹介する。
特に、もみがら灰を利用しようとするときは、用途にもよるが、もみがらのSiO2に注目して、その結晶化度が問題となる場合は,焼成温度と、滞留時間の関係が重要になる。
このような意味において、もみがらの燃焼に流動層を用いることは適切である。
なぜなら、この装置の特徴の第一としてあげられるのは、温度制御が良好なことである。
したがって、最も適した温度を選定して運転することが可能であり、安定した副生品すなわち灰が得られる。
また、ローカル資源としてみた場合、装置規模の問題がある。
この点に関しても流動層は極めて融通に富んでおり、自由に規模を選定し得る。
したがって、中小規模の工業化に向いていると言える。