農作物障害に対するX線マイクロアナライザーの応用
中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,76-77
農作物障害として二つの例について紹介する。
1 りんご粗皮病
りんご粗皮病の問題解決を目的とする一手段として、北海道空知郡江部乙町にある道立中央農試江部乙果樹試験地における発病樹と未発病樹から採取したりんご樹皮のEMX(エレクトロンマイクロプローブX線アナライザー)による微小分析を実施した。
りんご粗皮病の病変部を表皮、皮層柔組織および内皮に分けてEMXにより分析した結果、つぎのことが明らかとなった。
健全な場合、各樹皮とも鉄、アルミニウム、マンガンは均一に分布しているが表皮病変部は局部的に鉄、アルミニウムが同一個所の健全部に比ぺて10倍から30倍程度の高濃度に集積していることが分かった。
2 小豆の生育障害
北海道胆振支庁管内の有珠地方にみられる小豆の生育障害症状の特徴と発生分布地域については、その原因はいまだ明らかでない。
このため、この小豆の各組織を微小分析機器である「EMX」によって分析し、その原因を明らかにしようと試みた。
その結果生育障害によって褐変化した葉身の斑点からは鉄、アルミニウム、マンガンが検出され、特に鉄とアルミニウムの含量が高かった。
またEBS像の写真結果から、この2つの要素は部分的に偏在していることなどが明らかになった。