含油スラッジの無公害処理技術

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,74-75

 備蓄タンク類には消防法によって定期的な開放点検が義務づけられ、容量1万kl以上の大型タンクでは5年間に1度と定められている。 この開放点検時にタンク底から、鉄錆や砂泥を含んだワックス状のスラッジ、すなわち含油スラッジが多量に排出される。 更に、重油タンカーや精油所、火力発電所等のタンクからも含油スラッジが排出される。
 本研究は、このようなタンク底やタンカーの含油スラッジから有用成分と熱エネルギーを回収する無公害型のプロセス・システムを開発することを目的としている。 すなわち、含油率が高いスラッジはこれを熱分解して油分を回収する。 一方、含油率の低い劣質なスラッジおよび熱分解残渣は流動燃焼法によって無公害燃焼して熱エネルギーを回収する。 この回収熱を熱分解用あるいは備蓄基地用等の熱源として利用する。 このような、熱分解油分回収プロセスと無公害燃焼・熱回収プロセスを組み合わせた総合的な含油スラッジ処理システムを確立する。
 そのため次の事項について調査研究を行なった。
(1) 9種類のタンク底含油スラッジを収集し性状分析を行った。
(2) 回分型の熱分解装置により、上記試料の500℃までの熱分解実験を行った。
(3) 直径200mmのベンチスケール流動燃焼装置により、2,000Kcal/kg程度の劣質スラッジの燃焼実験を行った。
(4) 上記(3)での知見に基づいて、含油スラッジの連続供給機と燃焼残渣の抜き出し法についての検討を行い、劣性含油スラッジの安定燃焼・熱回収の研究とともに、特にSOxとHClの炉内吸収を中心にした無公害化の研究を行っている。