迅速水質分析法

問合わせ ひとつ戻る DB入口へ トップページへ PDF(イメージ)を見る

中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,70-71

 水の分析の場合、整備された分析室において、大型装置による分析を行うために試料を運搬保存する間の環境変化に伴い試料中に含まれる成分の溶存状態や濃度が変化する場合がある。 そのため持ち運び可能な小型装置を用いる迅速分析法の開発は、上記の問題を避け得るばかりでなく、汚染源の探査が現場で短時間に行うことができれば公害対策上も資するところが大である。
 本研究は、金属イオンの錯体と他の錯形成剤との間の配位子置換反応の速度の差を利用した新しい迅速分析法の開発を目的としている。 この方法はこれまでの化学分析法において分析操作、分析時間の大部分を占めていた分離操作を省略することが出来るので、数分間の分析操作で1〜3成分の分析が出来る新しい分析法に発展する可能性が認められた。
 以下に本研究の概要を記す。
1) 各種金属イオンについての反応速度を利用する計測法の開発:主要な重金属イオンについて反応速度法による計測法の開発を行った。
2) 分析感度の改良:健康にかかわる基準値に関連する測定にはppbレベルの濃度の直接測定が必要であり本計測法について感度の改良法の研究を行った。
3) 可搬型測定装置の製作:試料採取現場において、直ちに本計測法による重金属イオン濃度の測定が可能な、可搬型分析用反応速度測定装置の試作を行った。
4) 現場試験:開発した測定法ならびに分析装置を用い、現場において重金属イオン濃度測定を行い、JIS法による結果と比較検討の上、本計測法ならびに装置について総合評価を行った。