寒冷地における工場排水の高度処理(脱リンを目的とした吸着ろ過処理)

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,64-65

 この研究は、寒冷地向け排水処理法の一環として、脱リンを目的とした吸着ろ過処理について、1)複層ろ過池による接触凝集法、2)多段ろ過池による吸着ろ過法について検討したものである。
 内容は、吸着ろ過システムにおける脱リン材の検討、さらに実用性を評価するためにモデル水から実排水を用いるベンチスケールの連続試験へと展開された。 そして最終段階における実排水を用いた連続試験の結果から、脱リン吸着ろ過処理の総合評価が得られた。
1) 複層ろ過池による接触凝集法
 総合的な結果からリン化合物60%除去における複層による接触凝集の最適な条件としては、ろ過比(アンスラ:珪砂)1:1、ろ過速度5m/hr、Al/pモル比の1.0〜1.2、pH7.0が妥当であると考えられる。
2) 多段ろ過池による吸着ろ過法
 (a)各システムの機能別評価
 第一段ろ過処理における脱リン効果は、Al/pモル比による影響が顕箸てある。 また除濁効果については、接触凝集により満足すべき結果が得られた。 第二段ろ過処理における脱リン効果は、低濃度領域での除去速度の影響が見られる。 第三段ろ過処理における脱リン効果は、高濃度領域では満足すべき結果が得られた。
 (b)多段ろ過池における吸着ろ過の総合評価
 吸着処理に問題があり、特に低濃度領域における除去速度の影響について、吸着材の粒度および空間速度等を検討する必要がある。
 (c)実用化について
 本装置による脱リンについては、二、三の問題点を残しているが、これらの解決法として前段処理における脱リン効果を向上させるために、ろ層構成を複層から三層にして、後段処理の負荷を軽減させることが挙げられる。 また一方、吸着処理における問題点については吸着材の選択から逐次見直せば、この方式による脱リン処理も有効なるものと思われる。