オゾンによる下水高度処理
中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,60-61
下水高度処理に対するオゾン処理の関心が高まって来た理由は要約以下のように思われる。
1) 在来型の処理法では不可能であった脱色、脱臭、除泡が、オゾン処理では容易にほぼ完全に除去出来る。
2) 殺菌力が従来使用されている塩素や二酸化塩素に比較し数十倍強力である。
3) オゾン処理はスラジやその他二次汚染物質を生成しない。
4) 工業用オゾン発生装置の開発が進み、耐久性が強く、高性能の実用機が経済的価格で生産される様になった。
5) 酸素ばっ気による好気性処理法(二次処理)が開発され、その効果が認められる様になるにつれて余剰酸素をオゾンの発生原料にしようとする考えが出て来た。
このように当所で提案した新しい高度処理(AWT)プロセスについて実用性の評価を中間試験により行ない多くの知見や成果を得た。
これを要約すると以下のようになる。
1)AWTにおけるオゾンの効用は多目的で特に有機物質の除去にはゼオライト又は活性炭との併用により一層の効果を発揮すること、すなわちオゾン-ゼオライト、オゾン-活性炭の併用はAWTに於て不可欠のプロセスであり、これ以外のオゾン利用はオゾンの本来的効用を著しく損なう結果となることが確認された。
2)再生水の水質は極めて良質であり飲用水基準と比軟しやや塩類濃度が高い程度で現在の脱塩技術を併用すると純水に近い水質が得られるが現在の水事情では下水の飲用水化までは要求されていないので現段階では十分用水として使用し得る。
3)本プロセスに対する経済評価をランニングコストについて行った結果、オゾンおよびゼオライトリサイクリングシステムでは活性炭処理を含めての処理費は処理水の水質と比較すると、充分安価なものであることが認められた。