けい酸カリ肥料製造における石炭灰の改質

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,58-59

 3種類のフライアッシュを試料としく溶性けい酸カリ肥料の製造を行い、その品質の改善に効果のある添加物について以下のことを明らかにした。 なおカリ源としてはK2CO3を用いた。
(1) フライアッシュに対しK2CO3の混合のみでは、c-K2O 20wt%、s-SiO2 25%の肥料規格には達しない。
(2) く溶性けい酸カリ鉱物KAlliO4を形成するためには、フライアッシュ中のAl2O3分は不足しているので、Al2O3の添加はく溶性の改善に好ましい。 しかし、Al2O3の添加のみで、c-K2Oは20wt%に達するが、s-SiO2は25wt%に達しない。
(3) アルカリ土類金属酸化物MgO、CaO分の添加も、く溶性の改善に対して好ましい。 特にMgOの添加が効果があり、c-K2Oは22wt%、s-SiO2は29wt%に達した。
(4) く溶性を示す鉱物はKAlSiO4の他K2MgSiO4、K2CaSiO4であることが明らかになった。 このためAl2O3、MgO、CaO源として粘土、マグネシアクリンカー、石灰石などの添加により、肥料の改質が期待できる。
(5) 次の添加物としてFe2O3を用い試験を行ったところ、Al2O3添加と同様な効果が認められた。 その結果に基き、アルミ製練の廃棄物である赤泥の利用を考えて添加試験を行ったところ、c-K2Oは22wt%、s-SiO2は26wt%の肥科を製造することができた。
 以上の結果よりフライアッシュを原料とするけい酸カリ肥料の製造に当っては、Fe2O3、Al2O3およびアルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO)の調整により、フライアッシュ原料の種類を問わず肥料規格をクリアーできる見通しを得た。 さらにアルミ製練の産業廃棄物である赤泥の有効利用方法についても一つの指針を得た。