熱量天秤

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,48-49

 従来、熱重量変化と熱容量変化を同時に測定する装置として示差熱量天秤(TG‐DTA)装置、示差走査熱量天秤(TG-DSC)装置がある。 TG-DTA装置は、熱重量変化及び定性的な熱容量変化の測定に広く使用されている。 熱容量変化を定量的に測定できる装置として、TG-DSCが製作されているが、DSCの精度は、重量変化を伴う場合の定量的な熱容量変化の測定性能を持ち合せていない。
 熱量天秤(TG-CSC)は、従来のTG-DTAとTG-DSC装置を改善する目的で当所が製作したもので、昇温速度の影響を受けずに、比熱、熱容量測定及び熱重量変化を伴なう場合の熱容量測定を精度よく定量化できる熱分析装置である。
 本装置の特長を列記すると次のようになる。
(1) 比熱の測定ができるほか熱重量変化とその熱容量を同時に定量的に測定できる。
(2) 室温から900℃までガス雰囲気中で測定できる。
(3) 試料を擬平衡時に昇温することができるので、熱容量測定の精度、分解能は、従来の熱分析装置に比べて優れている。
(4) 試料量が30〜1000mgと比較的広範囲の分析ができる。
(5) バイアス電圧によって昇温速度を調節できるが、試料量によっても昇温速度の調節が可能である。
(6) 本装置では、昇温速度をかえても熱容量ピークの温度位置や熱容量測定値に影響を与えない。 熱量天秤の製品化については、当所と真空理工K.Kとで共同開発したものである。