脈動流動層
中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,46-47
A. 粒子飛び出しの減少効果
流動層は、きわめて粒子の混合効果が良く、層温度が均一になるなどの長所がある反面、系外への微粒子の飛び出しがある。
そのため、飛び出す粒子の反応が不十分となり、装置の設計や運転においてこの飛び出し現象は、重要な課題である。
飛び出しの抑制方法は種々の方法がある。
この研究では、回分流動層で流動化ガスに脈動を与え、微粒子の飛び出し実験を行うとともに、気泡のホルドアップ、頻度、上昇速度などを測定し、通常の流動層との比較を行った。
流動化粒子としてシリカバルーンを使用し、回分式脈動流動層における粒子のとび出しについて実験による検討を行った。
その結果、次のような知見を得た。
1)脈動数が20-240 l/minの脈動流動層では、脈動のない通常の流動層に比べて、粒子の飛び出しが少なく、細い粒子が選択的に飛び出す分級効果が少ない。
2)脈動数を400 l/min程度に増加させると、粒子の飛び出しの挙動は、通常の流動層の挙動と同様になる。
3)脈動流動層における気泡の挙動は、通常の流動層と比べて、ほとんど差がない。
4)脈動流動層における粒子の飛び出しは、フリーボード部におけるガス流れの息つぎ現象に強く影響されるものと考えられる。
B. 石炭乾留における攪拌の省略
従来、流動層を用いて石炭を乾留する場合、しばしば分散板上のデッドスペースの石炭が発火し、反応温度が高くなりすぎるため攪拌機を用いることによって、不動粒子を強制移動させながら乾留する方法がとられてきた。
しかし、熱をかける際の材質の熱膨張により分散板と攪拌機が接触し分散板を損傷したり、あるいは攪拌羽根が屈曲する欠点があるうえに、機械的にも複雑化する不便があった。
そこで、極めて低い周波数の脈動を流動化ガスに与え石炭の流動乾留に応用した結果、攪拌機を使用したのと同様の安定した乾留が可能であることを見い出した。