石炭灰のガラス化及び発泡剤
中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,44-45
石炭灰として北海道電力KK江別発電所から排出される灰を試料とし、融点降下剤であるアルカリ土類成分の添加量(0〜35wt%)、カルシウムとマグネシウムの割合を変えた条件で溶融性、ガラス化性、発泡性、溶流性(粘性)について検討した。
融点降下剤(CaO+MgO)の添加量ならびにCaOとMgOの割合を変え、石炭灰のガラス化条件の拡大を検討した。
その結果、融点降下剤の添加量が25〜30%の場合1,250℃〜1,300℃で良好にガラス化できることを見出した。
またこれら各種のガラスについて耐アルカリ性試験を行い、ジルコニウム等耐アルカリ性を向上させる添加剤を特に加えなくても、相当に性能の良いガラスが得られることを見出した。
以上の結果から石炭灰を原料とするガラスの用途として、コンクリート強化用ガラス繊維の可能性が認められた。
また、発泡材について得られた結果は次の通りである。
(1) 試料は焼成温度上昇にともない収縮→膨張(発泡)→収縮(溶融)の過程をとる。
重量減少は膨張前に終了する。
したがって各試料は焼成過程において最少かさ密度が存在する。
(2) フライアッシュが増加するにつれて最小かさ密度が増大し、焼成温度が高くなる。
フライアッシュが一定ならば水ガラスが増加すると最少かさ密度が減少する傾向を示す。
(3) かさ密度が減少すれば熱伝導率、圧縮強度が減少する。
(4) 建築材料においては熱伝導率0.1Kcal/mh℃以下のものが断熱材として有効とされているが、かさ密度0.3g/cm3以下の試料がこの基準を満している。
原料である石炭灰、くずガラス及び水ガラスの混合割合を調節することにより上記の基準を満す発泡ガラスが得られる。