石炭灰を原料とするけい酸カリ肥料の製造法
中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,38-39
現在石炭火力発電用の石炭量は約1000万トンであり、今後の増設を考えると一層増加する状況にある。
この石炭火力の最大の廃棄物は、電気集じん機で捕集されるフライアッシュであって、使用炭の平均灰分を20%とすれば、その排出量は150〜200万トンを超えることになる。
フライアッシュは、概ね200メッシュ以下の球状粉体で、主成分はSiO2である。
現状では排出量の一部はセメント混和剤として用いられているが、その他は未利用のまま埋立処分に回されているので、この利用法の開発は一層望まれるところである。
そのひとつとして、フライアッシュを原料とする肥料の製造が試みられているが、その製造法において、あらかじめ原料に、燃料として微粉炭を混合し、自然法によって流動焼成をする方法を開発したので、その経過を報告する。
この方法は既に、電発フライアッシュKK磯子肥料工場において使用されており、期待通りの実積をあげている。
また、操作上からも極めて安定しており、十分スケールアップに耐えることができる。
特徴的な点をあげると、(1)灯油燃焼炉の熱風による焼成法に比べて燃料費が格安になること。
(2)製品のく溶率が高いこと。
(3)熱風方式では、分散板及び風函が著しく高温になる点が難色であるが、この方法では、たかだか300℃で、装置保持上も有利である。
(4)ただし、微粉炭混合のため前処理の容量は増加することになる。