廃ポリエチレンからの燃料油の製造

問合わせ ひとつ戻る DB入口へ トップページへ PDF(イメージ)を見る

中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,36-37

 本研究はポリオレフィン系プラスチック廃棄物を加工・処理した安価な天然ゼオライト触媒(粒径3〜5mm)を用いて比較的低い温度で2段階で熱分解を行い、常温で液状の炭化水素油を得るものである。 1段目では槽型反応器内に触媒を投入し、攪拌させながら430℃から460℃の温度範囲で熱分解させ、熱分解速度の促進と反応器壁へのカーボン付着・固化を抑制する。 2段目の触媒充てん塔では1段目で熱分解させて生成した蒸気状生成物を430℃から460℃の温度範囲で接触分解させ、生成油を軽質化させることにより油化する技術である。 ベンチスケール規模の実験装置で2段階の接触分解を行った結果次のことが判明した。
(1) 1次分解槽に天然ゼオライト触媒を使用してポリエチレンを熱分解すると、触媒なしの熱分解に比べて処理量が3.3倍ほど多く処理できる。
(2) 2次分解塔に同じ触媒を使用し引き続き接触分解すると、生成油の低分子量化が行われ、常温で液体状のガソリンと灯油との中間留分に相当する油が得られた。
(3) 接触分解によって触媒カーボンが含蓄されるために、槽内壁の伝熱の悪化防止と配管などの閉管の阻止が可能であった。 本プロセスの実用化開発は、新技術開発事業団の委託開発課題の一つに選ばれており、(株)サンエスにおいて2カ年の計画で引き続き進められている。