オゾンによるバイオハザード防御装置

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,34-35

 近年、分子生物学や遺伝子工学などの発展にともない、遺伝子組換え技術を駆使した研究により、自然界に存在しない遺伝子をもった生物を作るといった研究が盛んに行われるようになっている。 それに伴って、これまで存在しなかった病原性微生物を作り出す危険性も増大しており、そのため、この遺伝子組換え実験には内容に応じて徹底したバイオハザード防御対策が求められている。
 したがって、その対策として最近では安全キャビネットの使用や、実験室そのものに安全対策設備を備えたP3、P4レベルの実験室(組換えDNA実験指針、内閣総理大臣、昭和54年8月27日付)の使用が義務づけられている。
 ところで、現在バイオハザード防御施設で用いられている滅菌、消毒法は、実験器具や廃棄物については高圧蒸気法、排水については煮沸(130℃)法であり、また、安全キャビネットや安全実験室の滅菌、消毒に関してはホルマリンくん蒸法が指定されている(組換えDNA実験指針)。 しかし、これらの方法は後述するように一長一短があり、必ずしも満足すべきものではない。
 本研究者らは、永年オゾンについての研究を進めてきた関係からこのような欠点を克服すべく、操作が簡単で効果的な新いバイオハザード防御装置の開発を試みた。 オゾンはバイオハザード因子に対する滅菌、分解力が優れている上に、空気と電力から容易に製造することができ、しかもその制御が簡単であり、これを用いて滅菌、分解すれば大気系、水系いずれにおいても自動化が可能で操作が簡単であること、残留オゾンは活性炭で除去することが可能であり、大気を汚染しないこと、及びオゾンはガス体であるため紫外線と異なり滅菌、消毒されない部分を生じることがなく、また容器の中に封じ込めてある試験体を損う恐れがないことなどの点に着目し、この技術を開発した。