含薬用炭マイクロカプセル
中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,28-29
医薬品、医療分野での利用等に薬用炭のマイクロカプセル化を検討した。
薬用炭は、近年では寝たきりの患者の汚物臭除去に活性炭布、活性炭紙、あるいは病院内の処置室の空気浄化、さらには人工腎臓の補助吸着剤としてヤシ殻活性炭を用いたライフテストや、ヤシ殻活性炭をコロジオン膜で被覆したマイクロカプセルにさらにアルブミンを吸着した例、また石油ピッチ系を原料とした球状活性炭をコロジオン膜で被覆し、ついでアルブミン処理したカプセルが発売されていて、これは多量に体内に入った毒物を血液から吸着除去するといわれている。
しかしながら粉末状の活性炭を用いたカプセルの詳細な調製条件と性能を報告した例は少ない。
ここでは薬用炭を芯材として、メチレンクロライドにエチルセルローズを溶解させ、ついでゼラチン水溶液中に滴下する水中乾燥法による含薬用炭カプセルの調整条件を明らかにした。
また得られたカプセルの内部表面積、メチレンブルー吸着量、細孔分布および膜厚等の測定を行い知見が得られたので報告する。
また、薬用炭にアスピリンを吸着させ、エチルセルローズを壁膜としたマイクロカプセルはアスピリンおよびサリチル酸の溶出時間が長く、かつエチルセルローズの濃度によって溶出量を調節できる可能性を見いだした。
またアスピリンは服用に際して胃腸障害を起こしやすく、むしろ腸吸収が望ましく、かつ吸収されるときはサリチル酸ソーダと考えられており、本実験はその意味で価値があると見られる。
今後、医薬分野での厳密な検討を加えることによって徐放、特効性のすぐれたアスピリンを含有するマイクロカプセルが調製されるものと期待する。