ポリビニルアルコールを原料とする活性炭
中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,24-25
プラスチック廃棄物の有効利用法として、各種のプラスチックからの活性炭の製造が試みられている。
筆者らもすでにポリ塩化ビニルの炭化物から内部表面積1000m2/g以上を有する活性炭を製造した。
しかし、布地、フィルムなど幅広く利用されているポリビニルアルコール(PVA)を原料とした活性炭の製造研究例は見当らない。
本報では、市販のPVA6種類を用い活性炭の製造を試みたので報告する。
PVAの熱重量分析の結果、600℃におけるPVAの炭化収率は4〜9wt%であり、活性炭原料として不適当であった。
そこで、炭化収率を増加させるためにPVAに各種の薬品を添加して熱重量分析を行った結果、濃硫酸を5%添加することによって炭化収率が未添加の場合に比べて約15倍増加することがわかった。
濃硫酸処理したPVAを回分型流動賦活装置を用いて水蒸気賦活した結果、活性炭収率0.22〜0.26でメチレンブルー吸着量350mg/g、内部表面積1,400〜1,700m2/gの活性炭がえられることがわかった。
このように、ポリビニルアルコールの濃硫酸処理でえられる生成物を窒素気流中で400〜1,000℃の温度で加熱処理し、えられた炭化物について分子径の異なる被吸着物質を用い飽和蒸気圧下での平衡吸着量より全細孔容積を求め、市販分子篩カーボンと比較した。
この結果、加熱温度の高い炭化物は市販分子篩カーボン(5Å以上の分子はほとんど吸着しない)と同じような分子篩性を示すことがわかった。