羽幌産ベントナイトの利用技術

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中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,4-5

 羽幌産ベントナイト鉱床の規模は従来推定の域をでなかったがこの調査によって確定し、鉱床全体の品質性状が明らかになった。 品質は全体に良好で調査対象地域の埋蔵鉱量は約60万トン、近傍地域の鉱量30万トンを合せて90万トンである。 なお、この試験研究で取り扱った試料の数は約300ヶである。 この鉱床は、沸石が混じった凝灰岩が層状に風化堆積したとされているので、この成因による羽幌ベントナイトの特徴があり、それは、(1)ところによって砂状の沸石が混入する、(2)全体に粘土状で、(3)高品質(かつ重金属を含まず)、である。 従って、他所では見られないこの特徴を生かした利用法を考えるべきである。
 ベントナイト原石を乾燥後微粉砕して、そのまま全量製品とすることに問題はない。 この際若干の脈石が原石に混入している場合は選択破砕が可能で、微粉砕後の分級で若干品位をあげることができる。 ベントナイトの他に含沸石ベントナイトを製品として生産する場合も、ベントナイトの場合と同様特に間題はないが、ベントナイト生産過程で分級した粗粒分を含沸石ベントナイトの生産工程に投入すれば良い。 そこで鉱床の規模、立地条件および回収費などから、羽幌のベントナイト鉱床が経済的に開発可能であると結論した。
 羽幌ベントナイトを湿式で解砕するとさらに高品位のベントナイトが回収される。 含沸石ベントナイトは湿式解砕によってベントナイトと沸石の分離が容易になる。 湿式解砕にはアジターか或いはボールミルを用い、沈降濃縮槽或いは遠心分離機で濃縮を行い、製品を回収すれば良い。 モンモリロナイトと沸石の分離効率を高めようとすれば、サイクロン或は他の分級機械を用いれば良い。
 また、ガラスビーズを用いた湿式解砕によって高純度で、しかも非常に微細な粒子とし回収(噴霧乾燥による)されるので、これの利用拡大について、2、3検討中である。 また、ゼオライト原料としての利用拡大について検討したが、混入するα-クリストバライトの影響を受けて、これを原料とするメリットはなかった。 なお、含沸石ベントナイトは農薬用として、その効果を充分に発揮するものと考えられる。
 羽幌地域に賦存するベントナイト鉱床の全容と品質および性状が明らかになった。 羽幌ベントナイトの品質は良好であり、現在市販されている高純度ベントナイトに匹敵する。 したがって、通常の用途向けにはもちろんのこと、高純度ベントナイトとしての利用拡大が期待される。