カオリンの品質向上法
中小企業団「先端工業技術応用要覧」(s59〜60年度)抜刷
1989年3月 北海道工業開発試験所技術資料 12,2-3
製紙塗工用カオリンが要求される品質は、1)六角・薄板状の単体粒子であること、2)カオリン以外のもの、例えば石英、硫化鉄などの不純物を含まないこと、3)白色度が高いこと、などであるが、最も重要な条件は、4)粒度が小さい、ことである。
これを英国規格では2μm以下重量割合が90〜100%のものをコーディング1級品、80〜85%のものをコーディング2級品、70%以下のものをコーディング3級品、そして、2μm以下の重量割合が55%以下のものをフィラクレイと規定している。
以上の要件に照らして、白老産カオリンのこの研究にかかわる問題点は、電子顕微鏡観察で明らかなように、カオリンの結晶性は非常に良好であるが、他の外国産カオリンなどに由較して、粒径が大きいこと、板状結晶の厚さがあついことである。
これらの点に着目して、ガラスビーズを用いた湿式ボールミルによるアトリッションによって、粒径を小さくするとともに、層状結晶を剥離させ、薄板状にすることによって、製紙塗工用カオリンの品質の向上をはかることを本研究の目的とした。
ガラスビーズを用いた湿式ボールミルによるカオリンのアトリッション試験によって、次の結論が得られた。
すなわち、1)コート用カオリンの粒度規格が上昇する。
2)フィラー用カオリンを処理することによって、コート用カオリンの増収がはかれる。
3)アトリッション後のハンター白度が上る。
4)アトリッションメディアとしてのガラスビーズ径の違いによるアトリッション効果に差異があり、この実験の場合、1〜2mmのものが最適である。
5)実験に使用したフィラー用カオリンをパルプの状熊で数十分放置すると、フィラーの容器の下部に固く沈積し、リバブルが非常に困難になり、バルブのハンドリングは現場操業上の隘路になっている。
24cm径のボールミルの試験で、アトリッションを30分程度かけると、リバブルが非常に容易になることがしられた。