還元処理による有機塩素化合物の処理
-鉄粉による1,1,2,2-テトラクロロエタンの処理-
先崎哲夫/ 熊谷裕男
1988年6月 工業用水 357,2-7
最近,地下水や水道水の有機塩素化台物による汚染が社会問題になっている。
その主要な汚染源と考えられる産業はクリーニング業あるいはハイテク関連産業,特に半導体製造工業や機械工業であり,これらの工業においては溶剤としてトリクロロエチレン等の人体に有害な各種の有機塩素系溶剤が用いられている。
さらに,飲料水の塩素殺菌工程において,水中に溶存する有機化合物と塩素との反応により発ガン性の恐れのあるトリハロメタン類やその他の有機化合物が生成され,人体への影響が心配されている。
このような状況から,有害な有機塩素化合物等の経済的で,かつ確実な処理方法を早急に確立することが求められる。
これらの有害な物質は分解し,除去してしまうことが最も望ましいことであるが,他の安全な物質へと転換することによってもこの目的は達せられることから,著者らは金属還元剤を用いて有機塩素化合物等の有害な難分解性化合物を無害化することを目的として研究を行っている。