ICP発光分析装置

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原口謙策
1988年8月 北海道通産情報 43(8),45-46

 ICP発光分析法のICPとは高周波誘導プラズマ(Inductively coupled plasma)の略称で強力な電流を通した高周波コイル中にアルゴンガスを流し,約9,000kもの高温で安定なプラズマ炎を作り,そこへ霧化した溶液試料を導入して発光光源とする新しい方法です。 溶液試料の分析には水素やプロパンあるいはアセチレンを燃料とするいわゆる化学炎を発光源とする炎光光度法がありますが,化学炎の温度は3,000K以下にすぎません。 そこでより高温で励起効率の高いプラズマの利用が考えられていましたが,分析試料をいかにプラズマ中に導入するかという技術的間題がなかなか解決されませんでした。 1960年代中頃,英,米両国の研究者によってそれぞれ独立にICPの開発が初めて発表されました。 以来その優れた特徴が認められ,多くの研究者や機器メーカーにより,分析装置としての改良や利用法の研究が統けられた結果,1970年代後半には各社からICP発光分析装置が発売されるに至り,現在では全世界で6000台以上も普及したといわれています。