松前産滑石の開発利用技術に関する研究
-低品位滑石鉱の選別(II)-

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植田芳信/ 関口逸馬/ 藤垣省吾/ 下川勝義
1988年3月 北海道工業開発試験所報告 45,36-51

 第1章で述べた化学分析試験結果では4〜8%の鉄(Fe2O3)が含有していた。 しかしこの鉄成分はX線回折分析などの結果から見て,単体鉱物としての存在は認められず,他の鉱物の組成と置換した形で存在していると考えられる。 また,鉱山から得られる鉱石は通常白色であるが,これを高温で焼成すると茶褐色を帯びる。 このことは含有する鉄成分が自然界では第一鉄の形で存在していたものが焼成によって酸化されて第二鉄に変った結果であると考えられる。 また,この場合の第一鉄が滑石,マグネサイト,ドロマイト中のマグネシウムやカルシウム成分と置換して存在していると考えると,上述のことが良く説明できる。 これらの確認は今後の研究に待つ必要がある。
 以上の考えに立つとして,それらの鉱石が高磁場内にあるとすると,含有する鉄量に応じて鉱石の平均磁化率が異なるので,このことを利用して構成する鉱物相互の選別が可能である。
 また,このことは鉄成分だけでなく滑石中に微量成分としてNi,Crなどが0.1から0.3%含まれている(第一章)が,これらも強磁性あるいは常磁性元素があることから,高磁場内での挙動に差異の生ずることが予想される。
 本実験で行った高磁力選別は均一磁場中に強磁性の細線を置くことにより,その細線周囲に生じる高い磁場勾配を利用して分離する方法である。 この方法は湿式で行うことができるので,微細な粒子の分離が可能である。 またこの分離法を用いた試験は多くあり,実用化の段階にある。 しかし滑石についてはこれまでに研究が行われておらず,滑石とマグネサイト,ドロマイトその他の鉱物との分離性について明らかとなっていない。 このため高磁場内における松前産滑石鉱の選鉱性について明らかにすることを目的に一連の試験を行った。