松前産滑石の開発利用技術に関する研究
-低品位滑石鉱の選別(I)-

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植田芳信/ 関口逸馬/ 下川勝義/ 山口義明/ 藤垣省吾
1988年3月 北海道工業開発試験所報告 45,12-35

 松前産滑石の低品位鉱“サメ”は相当量残存していると考えられているが,今回の調査結果でも数十万トンの鉱床が新たに確認された。 しかしこれらの鉱体の白度は70以下であり,また滑石の含有量のバラツキが大きく,部分的に鉄成分で汚染されているなど,品位の差の変動が大きいことが特徴であった。 このことからそれらを製紙用原料として,あるいはそれ以上の高価値利用を図るには選鉱的手段によって品質を一定以上に保つ必要があった。
 一方松前産滑石の選鉱はかつて試みられたことがあると聞くが,その詳細は不明である。 このことから同鉱の選別方法を確立するためには改めて全般的な選鉱性を明らかにする必要がある。
 非金属鉱物の選別には乾式選別法と湿式選別法があるが,前者は後者に比べ,沈降,濃縮,脱水,水処理が不用であることからより経済的である。 しかし反面,鋭利な分離が難しいことから,選別性は一般に劣る。
 このことから実験の進め方として始めに乾式処理を考え粉砕操作について検討した。 ここでは粗細粉砕と微粉砕を行い,粉砕性と選択破砕性について評価した。 この結果に基づいて次にボールミル粉砕,サイクロン分級,浮遊選鉱の各湿式処理操作について試験した。