Ni-Ti圧粉体の発熱溶融現象
鈴木良和/ 広木栄三/ 窪田大/ 下川勝義/ 鵜沼英郎
1988年11月 粉体および粉末冶金 35,731-736
最近無機物質の合成反応に発熱反応が多くみられることに着目したSHSプロセス並びにHPCSと称する自発的な発熱反応の伝播を利用した省エネルギー的合成法が注目されている.
この現象は金属間化合物にもみられるところから,実用合金の合成への通用が試みられている.
例えば,形状記憶合金の応用分野が拡がるに伴い,低コスト化に適した製造法の一つとしてその開発研究が進められている.
筆者らは,真空中でNi-Ti圧粉体を焼結する過程で,一定温度から昇温速度を速めることによって,これら圧粉体に発熱反応が生じ,圧粉体が溶融する事実から,高温に達する発熱過程について追跡した.
これらの現象によって,加熱温度が溶融温度に到達する前に,圧粉体の溶融による均一相の出現が期待できる.
本研究では,これらの発熱過程で得られた合金の組成を調べ,これらの現象について若干の考察をしたので報告する.