蛍光X線分析
矢部勝昌
1987年5月 北海道通産情報 42(5),48-49
物質の本性を見極めるためには,先ずそれを構成する原子の種類や量を知ることが必要である。
これは「分析」と言われ,物質を理解するためのもっとも基木的で重要な手続きであるが,広い意味で物質を「みる」手段とも言える。
最近の25年間にX線,電子線,イオンビーム等を利用した種々の分析手段が著しく発達し,分析が容易になるとともに,表面とか微少領域といった局所的な部分の組成や原子,電子の状態を知ることが出来るようになった。
科学技術時代の旗手としてもてはやされる先端材料やデバイスの開発はこれらの分析手段の進歩によって可能になっていると言える。
蛍光X線分析法はそれらの近代的な分析法の中では比較的早いうちに完成された方法で,今では広く生産管理を含む多くの部門で利用され,我々に利益をもたらしている。