循環型流動層石炭ボイラー
平間利昌
1987年3月 北海道通産情報 42(3),42-44
わが国では,流動層型石炭ボイラーの実用化が10年程前から急速に進められてきました。
現在,国内ではこの型のボイラーが20基程度稼動しており,また,国家プロジェクトとしての蒸発量160ton/h(発電量5万kw)の実証試験プラントが昨年末から試験運転を開始するなど,順調な歩みを続けています。
道内では住友赤平,三井東圧砂川,釧路熱供給公社,太平洋炭鉱,王子製紙(江別,苫小牧)などで中規模のボイラーが稼動しています。
これらの石炭ボイラーは,いずれも後述する気泡流動化状態を利用したものですが,既にいろいろな文献等で紹介されているように,従来のストーカー方式や微粉炭バーナー方式と比べて,コンパクトな設計ならびに低NOx(窒素酸化物)化と炉内脱硫が可能で,使用可能な炭種幅が拡がること,特に低品位炭を利用できるなどの特長を持っています。
しかし一方では,無煙炭のように揮発分が少ない石炭では燃焼効率が低く,大型ボイラーでは給炭系の設計が困難になるなどの弱点も明らかになってきました。
そこであらためて注目されている新しい技術が循環型流動層ボイラー(高速循環型とも呼ばれる)です。
第2世代の改良型流動層ボイラー(AdvancedFBC)ともいわれ,フィンランドや西ドイツでは,この技術の研究開発が盛んに行われています。
国内でも数年前から研究が始められ,中規模ボイラーの実用化が進行中です。
ここでは循環型流動層ボイラーの特徴と私達の研究の一端を御紹介します。