微粉炭の流動燃焼
本間専治
1987年12月 北海道工業開発試験所報告 44,41-48
流動燃焼法は,石炭を高効率,低公害で燃焼できる技術として注目され,世界各国において活発な技術開発が行われてきている。
これら技術開発の蓄積に基づいて,濃厚流動層を用いる石炭の流動燃焼ボイラーは既に実用化され,現在では発電用の大型装置による実証試験の段階に達している。
一方,燃焼効率が高く,低公害性で負荷変動への対応が迅速にでき,より高い発熱密度を持つ新しい流動燃焼方式として,近年,循環型流動層が着目されてきている。
その技術開発に関する研究も多く行われている。
その中でさまざまなタイプの循環型流動層が提案されており,その一つとして粗粒子の流動層内を微粒子が通過して循環しながら反応する方式のものがある。
Nackらは,MSFB(Multisolid Fluidized Bed)と呼ばれている循環型流動層を石炭の燃焼プロセスに応用し,その技術開発を行っている。
また,Yangらは,TCEB(Teeter Combined Entrained Bed)と名づけた循環型流動層を提案し,その基礎的特性を研究している。
著者らは,微粉炭を燃焼用の空気と混合して粗粒子の流動層の底部から吹き込み,流動燃焼させる方法を考案した。
この方法は媒体流動層によるガラスバルーン製造法の研究で得た原料供給に関する知見をもとに考案された。
この方法によれば,微粉炭を流動層全面に均一に分散して供給できるので,層内温度の均一化と安定した温度制御が容易になる。
従って,層径のスケールアップに際しても有利になると考えられる。
本報告では,この方法による微粉炭の燃焼試験を行い,燃焼特性と石灰石による脱硫性能を調べたので,その結果を報告する。