石炭の分解抽出油反応に及ぼす加熱速度の影響
森田幹雄/ 広沢邦男
1987年3月 北海道工業開発試験所報告 42,17-22
著者らは,石炭分解抽出反応における初期反応が極めて速く,急速加熱分解抽出によって2〜3分間以内に石炭の大部分を可溶化できることを既に報告した。
Neavelらも同一結果を確認し急速加熱分解抽出法は工業的にも興味ある方法として注目されるところとなっている。
石炭の熱分解では,加熱速度の増加とともに石炭中の揮発性物質(特にタール成分)の回収率が増すことが明らかにされているので,熱分解を伴う石炭の分解抽出反応においても加熱速度の増加によって石炭の溶解量を増大させ得ることが予測できた。
しかし,石炭分解抽出反応における加熱速度の影響に関して確認した例はほとんど見当らない。
そこで,本研究では赤平炭と太平洋炭を試料とし,溶剤として脱晶アントラセン油を用いた場合について,低速加熱と急速加熱の分解抽出反応に及ぼす影響を回分実験により反応率と未溶解炭の性状変化から考察してみた。