化学工業原料としてのパーム油未利用成分の有効利用
Lye,O.T.
1987年2月 北海道工業開発試験所技術資料 11,2,9-9
パーム油の生産量と消費量は年々増大し,今やパーム油およびパーム核油の生産量は世界の油脂総生産量の12.8%を占めるに至っている。
これは大豆油の22.6%につぐものであり,パーム油は最大の油脂資源の1つとなって来ていることがわかる。
パーム油およびパーム核油の約90%は食用でフライ油,マーガリン,ショートニング(菓子製造用可塑性油脂)などに使われておリ,非食用は10%にすぎず石鹸やローソクなどが主な用途となっている。
しかしながら,パーム油をより目的にあった食品とするために,数フラクションに分別する操作が一般に行われ,この結果として,高融点分の約20%が食用外として生じ,この量はマレーシアの増大するパーム油生産量(258万トン/1980年,410万トン/1985年)から大きな問題となって来ている。
そこで,PORIMではパーム油の非食用に関する研究も盛んに行われており,最近では次の(1)〜(7)の課題が検討されている。
(1) 潤滑油への利用
(2) 石鹸の製造
(3) パーム油のエポキシ化による可塑剤および安定剤への利用
(4) 粗パーム油からのディーゼル油代替メチルエステル合成
(5) パーム油成分の界面活性剤や洗剤への利用
(6) パーム油肪酸からのローソクの合成
(7) パーム油未利用成分の化学原料化