もみがら及びもみがら灰の工業的利用
原尚道
1987年2月 北海道工業開発試験所技術資料 11,2,8-8
現在,世界における米の生産量はもみ重量で年間4億トンをこえ,その90%近くはアジア地域で産する。
もみ重量の20%はもみがらとして排出されるが,その一部が燃料や土壌改良材として利用されるだけで,大部分は未利用のまま廃棄され,しばしば公害源ともなっている。
もみがらは燃えるとその重量の15〜25%が灰として残る。
この灰はSiO2を主成分とし,完全に燃焼するとその含有率は95%を越える。
見ようによっては年間1,200万トン以上ものシリカ原料が燃料付きで毎年生産されているようなものである。
その結果,今日まで農産廃棄物であるもみがら及びもみがら灰を有価資源に転化しようとする多くの試みがなされてきている。
本報告者は,もみがら灰をシリカ原料に用いる建材開発を目的に,マレーシア標準工業研究所及びタイ科学技術研究所を相手機関とする国際研究協力に従事してきた。
研究成果の一部は,日本の協力によりマレーシアに,「もみがら灰利用軽量建材製造」パイロットプラント建設という大型プロジェクトに発展している。
これらの過程を通じて,本報告者はもみがら及びもみがら灰の工業利用可能性について学んできたので,それらの一端を紹介したい。