レアメタルの湿式製錬用剤の開発
原口謙策
1986年10月 北海道通産情報 41(10),44-45
近年の先端技術産業の著しい発展を支える高機能性材料の開発においてレアメタル(希少金属)は材料の新機能発現の中核的役割を担うものとして注目されております。
レアメタルはその利用の歴史が浅く,物性の未解明の部分も多いのですが,その利用分野は広く,今後の基礎的研究の成果と相俟ってその需要は飛躍的に伸びるものと予測されています。
ある予測によるとわが国の西暦2,000年におけるレアメタルの市場規模は現在の3倍1兆7,000億円で,そのうち新素材向けは5,400億円で現在の15倍にも増大するといわれます。
しかし,レアメタルの多くは世界的に見ても賦存量が乏しく,産出国も限られるため,資源小国のわが国ではこの飛躍的な需要の伸びに対処し,安定供給するためには,各種レアメタルの備蓄を行うとともに,低品位鉱や復雑鉱さらには廃棄物のような二次的資源など様々な原料からレアメタルを効率よく分離,回収する技術の確立が急がれています。