スパイクタイヤの低公害化研究
広木栄三
1986年1月 北海道通産情報 41(1)60-61
車粉の加害者でも被害者でもありたく無いし,だからと言って自動車の運転を止めたり,他の自動車に乗るのをやめる訳にはいかない。
この気持ちと新素材である形状記憶合金の応用とが結びつき,57年の暮,自分のアイデアを初めて特許にまとめて申請した次第である。
形状記憶合金を利用してスパイクピンを自動的に出し入れしてみようというアイデアである。
まだアイデアの域を出ないものであったが,これがはたして“もの”になるのかどうか調べるため,これまで続けていた舗装材の研究から一転して,昭和58年度から経常研究の中でスパイクタイヤについての検討を始めた。
何しろ新しく始めたばかりで,手元には素材一つ無く,メーカーから取り寄せた素材を加工して,タイヤにそれを埋め込み,写真に示した小型のドラム走行試験機を組み立て,形状記憶合金に組み込んだスパイクピンの特性試験を始めるに至った。