形状記憶合金を使用した低公害スパイクタイヤ

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広木栄三/ 鈴木良和/ 窪田大/ 後藤藤太郎
1986年3月 北海道工業開発試験所報告 39,24-30

 我が国の積雪寒冷地域における自動車は,安全確保のためスパイクタイヤを装着して走行している。 一方,道路の状態は冬期間の幹線道路や積雪期の前後で舗補面が露出している割合が多くなっている。 このような露出舗装面上をスパイクタイヤを装着した自動車が走行すると,路面の摩耗や破壊が起こり,路面の管理の上で,大きな経済的損失を招いている。 さらに路面の摩耗によって生ずる車粉公害は生活環境を悪化させており,早急な防止対策が望まれている。
 一般に自動車が舗装面を走行するとき,スパイクタイヤに発生する熱でタイヤ及びスパイクピンの温度は上昇する。 一方,氷雪路面では,その冷却作用でタイヤとスパイクピンの温度は下降する。 著者らは,この温度差で変形する形状記憶合金を用いて氷雪路面を走行する時にスパイクピンの突出力及び突出寸法が大きく,露出舗装路面を走行する時に小さくなるようなスパイクタイヤを考案した。
 本報告では,このような考えで試作した低公害スパイクピンをタイヤに装着し,ドラム走行試験機を用いて走行試験を行ったので,その結果について報告する。