硫酸アンモニウム添加ZrO2/Al2O3触媒によるメタノールから低級オレフィン合成反応

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山本光義/ 吉田忠/ 小谷川毅
1985年5月 日本化学会誌 1985,838-843

 硫酸アンモニウム添加ZrO2/Al2O3触媒がメタノールから低級オレフィン合成反応(MTO反応)に有効な活性を示すことを見いだしたので,この触媒の活性,反応経路ならびに失活の原因について検討した。
 触媒は90ZrO2/10Al2O3に10wt%の硫酸アンモニウムを含浸させて550℃,3時間焼成した。 反応生成物はエチレン,プロピレン,イソブタンならびに油状生成物(おもにポリアルキルベンゼン)で,エタン,プロパンなどの直鎖パラフィンをほとんど生成しないことが特長である。 反応は常圧下,280℃付近からオレフィンが生成しはじめ,300℃でイソブタン,320℃で油状生成物が逐次的に生成した。
 反応後の触媒の熱分析では,DTA温度が400℃を越え,かなり炭化度の進んだ生成物が反応開始直後に触媒に沈着し,その後の炭素質の沈着はみられなかった。 しかし,反応温度を400℃にも上昇させると配位した硫酸イオンが脱離する現象が,反応後の触媒の赤外吸収スペクトルで観察された。
 これらの結果から,本触媒での同族列化の機構は,エチレンが第一次生成物として生成し,これにメチル基が付加することによって進行すると結論した。