オゾンによる核酸の分解-バイオハザード防御のために-

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神力就子
1985年11月 工業技術 26(11),60-63

 北開試はすでに排水のオゾン処理についての10数年の実績を有しており先駆的な役割を果してきた。 さて,昭和54年,科学技術会議は諮問第8号「遺伝子組換え研究の推進方策の基本について」に答申し,組換え実験にあたって組換え体の物理的封じ込めのためレベルP1からP4までの実験施設の指針を決めた。 P2以上で安全キャビネットやセイフティルームの室内空気は排出口以外の所から絶対に漏れないように設計することが義務づけられ,内部の殺菌にあたってはホルマリン薫蒸を行うとした。
 すでに述べたようにオゾン処理の実績をもっていたので,閉鎖系の殺菌であるならオゾンを使用できると着想した。 ホルマリン薫蒸の操作はかなり繁雑であり,使用後のガスの追い出しにも時間がかかっている。 オゾンであれば空気と電力から容易に製造でき,排気も金属酸化物触媒などにより酸素に分解して放出できるため空気を汚染することもない。 何よりも殺菌の全行程を自動化できることはこの上もない便利を与えるものである。 こうして「バイオハザード防御にオゾン殺菌を」という目的でRNA,DNA,ウイルス,大腸菌,枯草菌胞子などのオゾン分解に関する検討を始めた。